PHPとは?重大な脆弱性で何が危険なのか初心者向けに解説

デジタル・AI

2026年10月、Webサイトを動かすプログラミング言語「PHP」に、重大な脆弱性(ぜいじゃくせい)が見つかったことが話題になっている。日本でも、財務省や国土交通省、大阪市などが、安全を確かめるために一部のWebサービスを止める事態になった。

とはいえ、PHPという名前を聞いたことがない人も多いだろう。この記事では、PHPとは何か、何が危険なのか、そして私たちは何をすればいいのかを、できるだけかんたんな言葉で解説する。

PHPとは?Webサイトの裏側で動くプログラミング言語

PHPとは、Webサイトの裏側で動くプログラミング言語の一つだ。ログインしたり、商品を買ったり、予約したりと、入力した内容に応じて画面が変わるサイトの多くで使われている。

Webサイトの「表側」と「裏側」

Webサイトは、私たちが見ている画面(表側)と、見えないところで処理をする部分(裏側)でできている。PHPが動くのは裏側で、Webサイトのデータや仕組みが置かれている「サーバー」というコンピューターの中だ。

表側(見ている画面)

文章・画像・ボタン
HTMLやCSSなどで作られる

裏側(サーバー)

ログインや注文の処理
PHPなどが担当する

レストランで例えるなら、Webサイトの画面は客席、PHPは厨房の調理スタッフのようなものだ。客席から厨房は見えないが、注文した料理が届くまでには、裏でさまざまな作業が行われている。

ログインボタンを押す
▼
入力した内容がサーバーに届く
▼
PHPが登録情報と照らし合わせる
▼
結果が画面に表示される

身近なWebサービスでも使われている

PHPという名前を知らなくても、PHPで作られたサービスを使ったことがある人は多いはずだ。

使われている場所 身近な例 PHPがしていること
ネットショップ商品検索・カート・購入履歴商品や注文の管理
会員制サイトログイン・マイページ本人の確認・登録情報の表示
予約サイト・フォーム美容院や飲食店の予約
問い合わせ
予約の保存・確認メールの送信
官公庁・金融機関各種申請・オンライン申し込み入力内容の受け付け
WordPressブログ・企業サイト記事の保存・ページの表示

ただし、これらのサービスがすべてPHPで動いているわけではない。銀行でも、PHPが使われるのはWebサイトの一部で、預金や送金を管理する中心のシステムとは別のものだ。

今回見つかった脆弱性とは?

脆弱性はプログラムの「弱点」

脆弱性とは、プログラムにある安全上の弱点のことだ。例えば、鍵のかかった玄関でも、ある方法を使えば外から開けられてしまう構造だったら、その方法を知っている人に侵入されてしまう。プログラムの脆弱性も、これとよく似ている。

外から勝手にプログラムを動かされるおそれ

今回見つかったのは2つの脆弱性で、まとめて「PHP2Shell」とも呼ばれている。危険度は10点満点中9.2と、とても高い。

項目 内容
番号CVE-2026-109618
CVE-2026-109619
呼び名PHP2Shell
危険度10点満点中 9.2
起こりうること外部から勝手にプログラムを動かされる

CVE:見つかった脆弱性につけられる世界共通の番号。

リモートコード実行:離れた場所から、他人のコンピューターで勝手にプログラムを動かすこと。今回の脆弱性はこれにあたる。

本来、サーバーでプログラムを動かせるのは、許可された管理者だけだ。ところが今回の脆弱性では、条件がそろえば、管理者のIDやパスワードを知らなくても攻撃できるおそれがある。

PHPを使っているサイトが必ず攻撃されるわけではないが、
インターネット越しに攻撃できるおそれがあるため、重大な問題とされている。

悪用されると何が起きる?官公庁や銀行が止まった理由

もし脆弱性が悪用されると、主に次のような被害が考えられる。

1
サイトの書き換え
文章を勝手に変えられたり、偽サイトへ誘導されたりする
2
情報の流出
会員情報や注文履歴などが盗まれる
3
サービスの妨害
サーバーで不正な処理をされ、サイトが使えなくなる

これは私たちのパソコンやスマホが直接壊れる問題ではなく、Webサイトを提供している側の問題だ。

サービスの停止は「被害が出た」という意味ではない

今回、官公庁や銀行の一部サービスが止まったのを見て、もう攻撃されたのではと心配した人もいるかもしれない。しかし、多くは被害を防ぐための一時停止だ。建物に欠陥が見つかったら、事故が起きる前に点検のため使用を止めるのと同じである。

重大な脆弱性が発表される
▼
安全を確かめるため一時停止
▼
対策を行う
▼
安全が確認できたものから再開

実際、財務省は対策を行い、安全を確認したページから順番に公開を再開している。

普通にネットを使う人への影響と対策

PHPはサーバー側で動いているので、普通にネットを見ているだけの人が、自分のスマホやパソコンで何かを更新する必要はない。

一般の利用者

自分でPHPを更新する必要はない
サービスの公式情報を確認する

サイトを運営している人

PHPのバージョンと
サーバーの対策状況を確認する

ただし、使っているサービスを通じて、間接的に影響を受けることはある。

一般の利用者が受ける可能性のある影響
サービスの一時停止
手続きしようとしたら
メンテナンス画面になる
個人情報の漏えい
氏名・メールアドレス・住所
利用履歴などが盗まれる

脆弱性が見つかったことと、実際に情報が盗まれたことは別の話だ。ニュースを見ただけで、自分の情報が漏れたと決めつける必要はない。

一般の利用者ができること

一般の利用者ができること
✓使っているサービスの公式のお知らせを確認する
✓情報漏えいが発表されたら、案内に従ってパスワードを変える
✓同じパスワードを使い回している別のサービスも確認する
✓ニュースに便乗した偽メールのリンクは開かない

特に気をつけたいのが、ニュースに便乗した偽メールだ。「緊急のセキュリティ対策が必要です」と書かれたメールが届いても、リンクは開かず、公式サイトから確認しよう。

WordPressなどでサイトを運営している人がやること

WordPressもPHPで動いている。WordPress本体を最新にしていても、サーバー側のPHPが古いままなら、PHP自体の脆弱性は残る。ブログやサイトを運営している人は、PHPのバージョンを確認しておきたい。

PHPのバージョンを確認する

WordPressでは、管理画面から次の手順で確認できる。

1 管理画面の「ツール」を開く
▼
2 「サイトヘルス」を開く
▼
3 「情報」タブを開く
▼
4 「サーバー」の項目でPHPのバージョンを見る

今回の問題が直ったバージョンは次のとおりだ。これより新しい修正版が出ていれば、そちらを使えばいい。

PHPの系列 直ったバージョン
PHP 8.28.2.35 以降
PHP 8.38.3.36 以降
PHP 8.48.4.27 以降
PHP 8.58.5.12 以降
PHP 8.1以前公式サポート終了

PHP 8.1以前は公式のサポートが終わっているため、使っている場合は新しいバージョンへの切り替えを考えたい。

レンタルサーバーのお知らせも確認する

レンタルサーバーを使っている場合は、サーバー会社がPHPの更新や対策をしてくれていることもある。まずは契約しているサーバー会社の公式サイトで、今回の脆弱性への対応を確認しよう。

古いPHPをすぐ更新できない理由

ただし、PHPを新しくすると、使っているテーマやプラグインが動かなくなることがある。古いサイトほど、昔のPHPに合わせて作られているからだ。

古いPHPのまま使う

脆弱性が残ってしまう

新しいPHPに更新する

テーマやプラグインが
動かなくなることがある

更新する前には必ずバックアップを取り、テーマやプラグインが新しいPHPに対応しているか確認しておこう。すぐに直せない官公庁などのサービスが一時停止を選んだのも、こうした事情がある。

「世界の約7割」とAIによる発見|今回のニュースのポイント

「約7割のサイトに影響」は本当?

ニュースでは「世界のWebサイトの約7割に影響する可能性」とも言われている。これはWeb技術の利用状況を調べているW3Techsの調査がもとになっている。

サーバー側の言語がわかったWebサイトのうち、PHPを使っている割合
69.3%
W3Techsの調査(2026年10月24日時点)

ただし、これはサーバー側の言語がわかったサイトの中での割合で、世界中のすべてのサイトの7割という意味ではない。また、すでに修正版に更新したサイトもあるため、7割のサイトが今も危険というわけでもない。それでも、PHPがそれだけ広く使われているからこそ、大きなニュースになったのだ。

AIが脆弱性を見つける時代になった

今回の脆弱性は、OpenAIがAIを使ったセキュリティ調査で見つけたと発表している。AIは文章を書いたりするだけでなく、プログラムの弱点を探すことにも使われ始めている。

守る側のAI

人間が見落とした弱点を見つけ
被害が出る前に直せる

攻める側のAI

悪用する人が
弱点探しに使うおそれもある

AIによって、弱点が見つかるスピードは上がっていく。これからは、見つかった弱点をどれだけ早く直せるかがますます大切になるだろう。

まとめ|PHPは危険な言語ではなく、更新しないことが危険

今回のニュースで、PHPそのものが危険な言語だと感じた人もいるかもしれない。しかし、脆弱性はWindowsやiPhone、Androidなど、どんなソフトでも見つかるものだ。大切なのは、見つかったときにすぐ直されること、そして使う側がきちんと更新することである。

普通にネットを使う人は、自分で何かを更新する必要はない。使っているサービスの公式のお知らせを確認し、ニュースに便乗した偽メールに気をつければ十分だ。一方、WordPressなどでサイトを運営している人は、本体だけでなくPHPのバージョンも確認しておきたい。

PHPは、私たちが毎日使うWebサービスの裏側を支えている。
普段は見えない技術だからこそ、問題が起きたときに仕組みを知っておくと、落ち着いて対応できる。

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