自分に向いている仕事とは?仕事内容だけでは分からない「職場との相性」

教養・思考

「自分にはどんな仕事が向いているんだろう」と考えたことがある人は多いと思う。

向いている仕事を探そうとすると、営業が向いている、事務が向いている、人と接する仕事が向いている、ものを作る仕事が向いている……というように、つい「何をする仕事なのか」で考えがちだ。

もちろん仕事内容との相性は大切だ。でも最近、自分自身の働き方を振り返っていて、それだけでは説明できないことも多いのではないかと思うようになった。

同じような仕事でも、職場が変わると働きやすさがまったく違うことがある。逆に、仕事内容そのものは嫌いではないのに、なぜか毎日仕事に行くのがつらくなることもある。

「仕事が向いていない」と「職場が合わない」は同じではない

仕事がつらくなると、「この仕事、自分には向いていないのかな」と考えてしまうことがある。

でも、その原因が本当に仕事内容そのものにあるとは限らない。

たとえば、ミスをするたびに強く責められる職場と、修正すべき点を普通に伝えてもらえる職場では、同じ仕事をしていても感じるストレスはかなり違う。

質問しづらい雰囲気の中で働くのと、分からないことを普通に聞ける環境で働くのとでも違う。細かく指示されるほうが安心できる人もいれば、ある程度任せてもらったほうが能力を発揮しやすい人もいるだろう。

こうして考えてみると、「仕事が合う・合わない」という感覚には、仕事内容だけではなく、人間関係や仕事の任され方、職場の雰囲気など、さまざまな要素が混ざっている。

仕事そのものと、職場との相性は分けて考える

仕事がつらいと、それらを全部まとめて「この仕事は向いていない」と判断してしまうことがある。でも本当は、仕事そのものではなく、その仕事をする環境が自分に合っていなかっただけということもあるのかもしれない。

同じミスでも、職場によって感じ方が違った

これは自分自身の体験からも感じている。

今の仕事でも、普通にミスをすることはある。それでも以前に比べると、ひとつのミスを長く引きずることが少なくなった。

以前は、指摘のされ方が強かったり、直接きつく言われたりすると、間違えた内容そのものより「また何か言われるかもしれない」ということのほうが気になってしまうことがあった。

そうなると、本来なら「ここを間違えたから次は確認しよう」で終わることまで、仕事そのものへの苦手意識につながってしまう。

今は何か間違えても、必要以上に強く言われることがあまりない。そのため、「間違えたから直そう」と比較的そのまま受け止められる。

仕事の内容が突然簡単になったわけではないし、自分が急にミスをしなくなったわけでもない。

自分の体験から気づいたこと

変わったのは、仕事内容ではなく環境のほうだった。

この経験から、自分が仕事に向いていると感じられるかどうかは、本人の能力だけで決まるものではないのだと思うようになった。

得意なことを使えるかどうかでも「向いている」は変わる

もうひとつ大きいと感じるのが、自分の得意なことを仕事の中で使えるかどうかだ。

同じ職種でも、職場によって仕事の進め方はかなり違う。決められた手順をそのまま正確に進めることが重視されるところもあれば、「もっと効率のいい方法があるなら試してみよう」と考えられるところもある。

どちらが優れているという話ではない。前者のほうが安心して働ける人もいるし、後者のほうが楽しいと感じる人もいる。

手順が決まっている環境 工夫できる環境
役割や進め方が明確 自分で方法を考えられる
決められた手順を正確に進める 改善や効率化を試しやすい
明確さを好む人には働きやすい 裁量を好む人には働きやすい

私の場合は、面倒な作業があると「もっと簡単にできないかな」と考えることが多い。最近ではAIに相談したり、簡単なツールを作ったりして、繰り返し作業を減らす方法を考えることも増えた。

最初は単純に、自分が面倒なことをしたくないからやっていただけだった。

ところが今の職場では、それが仕事の中でも役に立つことがある。「こういうこともできない?」と聞かれたり、自分が作ったものを使ってもらえたりする。

そこで初めて、自分ではただの癖だと思っていたものが、環境によってはひとつの強みになるのだと気づいた。

逆に、その工夫をまったく必要としない職場であれば、同じ能力を持っていても評価される機会は少ないだろう。

「自分は何が得意なのか」だけではなく、「その得意なことを使える環境なのか」。そこまで含めて考えないと、本当の意味での向き不向きは分からないのかもしれない。

条件がいい会社と、自分に合う会社は別だった

以前働いていた会社と今の職場を比べても、このことを感じる。

以前の会社は、会社として見ればかなり環境が整っていた。オフィスもきれいで、福利厚生も充実していて、社内のイベントなども多かった。一般的な条件だけを並べれば、魅力的に見える部分は多かったと思う。

一方で、組織が大きくなれば、仕事の進め方や使えるツール、システムの権限なども細かく決められている。何か別の方法を思いついても、自分の判断だけで変えられるとは限らない。

それは組織として必要なことでもあるので、良い悪いの問題ではない。

ただ、自分の場合は今の職場のように、「これ面倒だな」と思ったことを自分なりに工夫したり、新しい方法を試したりできる環境のほうが、どうやら働きやすいらしい。

外から見えやすい条件

給与、福利厚生、オフィス環境、会社の規模や知名度など。比較しやすく、会社を選ぶときにも確認しやすい。

働いて初めて分かる相性

人間関係、裁量、質問のしやすさ、仕事の任され方、自分の得意なことを活かせるかなど。

給与や福利厚生、オフィス環境、会社の知名度などはもちろん大切だ。ただ、実際に毎日そこで働くとなると、それとは別の「相性」がある。

「条件がいい会社」と「自分に合う会社」は、必ずしも同じではない。

ある人にとって最高の環境が、別の人にとっても最高とは限らない。

「職場との相性」は求人票では分かりにくい

問題は、この相性が仕事を探している段階ではとても見えにくいことだと思う。

求人票を見れば、給与や休日、勤務時間、勤務地などは分かる。福利厚生についてもある程度確認できる。でも、実際に仕事をするときの細かな感覚まではほとんど分からない。

求人票だけでは見えにくいこと

✓ ミスをしたとき、どんな対応をされるのか
✓ 分からないことを質問しやすいのか
✓ どの程度まで自分で判断できるのか
✓ 新しい方法を提案できるのか
✓ 決められた方法を守ることが重視されるのか

こうした違いは求人票では数字にならないけれど、毎日働くうえではかなり大きい。そして、どんな環境が合うかは人によって違う。

ある程度細かく指示してもらったほうが安心できる人もいれば、細かく管理されると窮屈に感じる人もいる。人と話しながら仕事をするほうが楽しい人もいれば、一人で集中できる時間が多いほうが働きやすい人もいる。

だから「働きやすい会社」をひとつの基準で決めること自体が難しいのだと思う。

向いている仕事が分からないなら、過去の「環境」を振り返ってみる

もし「自分に向いている仕事が分からない」と感じているなら、職種だけを考えるのではなく、これまで自分が過ごしてきた環境を振り返ってみるのもひとつの方法だと思う。

過去の仕事やアルバイトで比較的楽だった時期があるなら、仕事内容ではなく「なぜ楽だったのか」を考えてみる。

逆に、すぐに辞めたくなった仕事があるなら、「その職種が嫌だった」で終わらせず、具体的に何がつらかったのかを分けて考えてみる。

振り返るときのポイント

✓ 仕事内容そのものが嫌だったのか
✓ 人間関係で疲れていたのか
✓ 常に急かされることが苦手だったのか
✓ 細かく管理されることが苦しかったのか
✓ 自分で考える余地がなかったことがつらかったのか

そうやって振り返っていくと、「向いている職業」はまだ分からなくても、自分が働きやすい環境の特徴は少しずつ見えてくる。

私自身も、今の職場で働くまでは、そこまで意識したことがなかった。

でも最近、多少ミスをしても以前ほど落ち込まず、仕事をしていると一日があっという間に過ぎることに気づいて、「なぜ今はそう感じるんだろう」と考えてみた。

すると、仕事内容そのものより、穏やかな人間関係、自分で仕事を理解して進められること、そして効率化やAIなど自分の得意なことを活かせる余地があることのほうが、自分にとっては大きかった。

それはあくまで私の場合の話で、別の人にはまったく違う条件が重要になると思う。

だからこそ、「向いている仕事」を職業名だけで探す必要はないのかもしれない。

向いている仕事を考える、もうひとつの視点

「自分は何の仕事に向いているのか」ではなく、

「自分はどんな環境なら、無理なく能力を発揮できるのか」

その視点を持つだけでも、「自分に向いている仕事」というものが、少し違って見えてくる気がする。

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